こんにちは!山崎光春です。
ダイヤモンドダストは、極寒の地域でのみ見られる稀少な自然現象として知られています。空気中の水蒸気が直接氷結して生じる微細な氷の結晶が、光を反射させてキラキラと輝く様子は、まさに自然が織りなす芸術と言えるでしょう。
この神秘的な現象を、明治大学理工学部物理学科の雪氷物理学研究室が室内で再現し、大きな話題を呼んでいます。2023年11月2日から4日にかけて開催された明治大学生田キャンパスの学園祭「第24回生明祭」において、同研究室が実演形式の実験を行い、来場者を魅了しました。
長島和茂教授によると、この室内再現の仕組みは非常に興味深いものです。まず、冷凍庫内をマイナス18℃程度に冷やし、そこに息を吹き込んで水蒸気を供給します。これにより微細な水滴が発生し、冷凍庫内が曇って見えるようになります。この段階では、まだ水滴は凍結していません。
ここで驚くべきことに、梱包材のプチプチが重要な役割を果たします。この過冷却水滴の雲の中でプチプチを破裂させることで、局所的にさらなる急冷が起こります。これは断熱膨張の原理を利用したものです。その結果、過冷却水滴が一気に凍結し、氷晶となり、やがて結晶特有の多面体へと成長していくのです。
自然界では水蒸気が直接昇華して氷晶が生成されるため、この実験方法とは若干異なりますが、最終的に観察される氷晶の特徴は本物のダイヤモンドダストと同じです。六角形の多面体をした氷晶が光を反射し、さらに平行な2面での薄膜干渉により、青、ピンク、緑、黄色など様々な色彩を放つ様子は、まさに自然の神秘そのものです。
この実演は、雪や氷の結晶形成メカニズムを研究する雪氷物理学研究室の取り組みの一環として行われました。長島教授は、雪や氷が身近な存在でありながら、研究対象としてもまだ多くの謎を秘めていることを強調しています。この美しいダイヤモンドダストの再現実験は、人々に雪氷物理学への関心を持ってもらうきっかけとなることを目指しています。
SNSでの反響も大きく、多くの人々が「ずっと見つめてしまう」「本物も見てみたい」といった感想を寄せています。また、このような学術的な展示が中高生の科学への興味を喚起する可能性も指摘されており、教育的な意義も大きいと言えるでしょう。
長島教授は、「日常で起こる身の回りの自然現象は物理により説明されることが多くあり、理系科目に関心を持ってくれるとうれしい」と述べています。この実験を通じて、多くの人々が自然科学の魅力に触れ、新たな探究心が芽生えることが期待されます。
Citations:
[1] https://site.ngk.co.jp/lab/no91/
[2] https://www2.nhk.or.jp/school/watch/clip/?das_id=D0005402768_00000
[3] https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%B0%E6%B0%B7
[4] https://news.yahoo.co.jp/articles/a8bda1ca380b3d2a155dfc60d4b96cc248842f66
[5] https://kesennuma-kanko.jp/weather-quiz32/
[6] https://www.gov-online.go.jp/eng/publicity/book/hlj/html/202201/202201_08_jp.html
[7] https://twitter.com/fuehrsn/status/1749019248289316876
[8] https://www.fnn.jp/articles/-/307257